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大分前のことでしたが、ある日YouTubeのPIVOT公式チャンネルを見ると、インド僧侶の衣をまとった若いお坊さんが対談に出ていたのです。
小野龍光さんというその人は、出家前は小野裕史さんという投資家・起業家・年商100億超のIT企業のCEOを務めていた人物なのですが、旅行先のインドで、縁あって出会ったインド仏教の最高指導者である佐々井秀嶺上人の勧めを受けて得度して帰って来たいう方なのでした。現在は全財産を捨てて、オーストラリアへ移住した奥さんの住居を時々の滞在所としながら、国内外を住所も定めず野宿し、喜捨を受けながら生活するという人生を選んだということでした。
何という思い切った決断を…、とビックリしながら対談を聞いた記憶だけが残っていました。
ところが、数日前にたまたま見たチャンネルで再び小野龍光さんの姿を見たので視聴すると、出版社の提案で精神科医の香山リカさんとの対談を書籍にしたという話題での出演だったのです。
以前のチャンネルで見た時は、2022年の10月に得度して直ぐの収録であったこともあり、色白で華奢な初々しい感じのお坊さんといった感じでしたが、その後2年間の活動を通して逞しくなられた姿になっていたのです。眉毛なども太く、人格的な厚みを増した容貌に変わっていました。
対談相手の香山リカさんは、前職の日本社会精神医学会の会員でもあったので、興味を掻き立てられ、早速書籍を取り寄せて読むことにしたのです。

成功と達成感を得ていても、終わりなく数値を追い続けることへの虚しさを心の中に抱え込んでいた小野裕史さんが、旅先で佐々井秀嶺師に出会い、全てを捨て小野龍光となった後に得られた安心立命の経験を通して、現代社会の中で、自己肯定感の無さや終わりの無い自己実現の夢を追い続けて疲れ切った人達への助けとなる活動を、謙虚に小さく続けている意味を知ることができます。
聞き手の香山リカさんも、大学教授を退官して北海道の僻地医療に身を投じるという経緯を話しながら、小野さんの思い切った行動に対する興味や自分自身の迷いなどに触れながらも、精神科医としての分析も交えて対談を進めているので、現代の日本に流れる閉塞感や不安感に対する道標にもなる書籍ではないかと思いました。
新書で薄く、手にも取りやすいので興味のある方はぜひ読んでみてください。
同時にAmazonで検索した、佐々井秀嶺師の書籍は全て売り切れだったので、BOOKOFFに入荷依頼をかけている次第です。
※尚、YouTubeで「小野龍光」と検索すると出演のチャンネルがいくつか出るので、佇まいに触れたい方は是非一度ご覧になって見て下さいね。